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第3の歯インプラント

≪第三の歯?歯科インプラント≫

 失われた歯を再現しようとする『こころみ』インプラントの歴史は古く、古代エジプトまでさかのぼることができますが、つい最近までとても満足する結果は得られていませんでした。

 1960年代のはじめ、スウエーデンのイエデポリ大学医学部解剖学教授ブロネマルクは、ウサギのスネの骨にチタンという金属の筒を埋め込み、骨の治癒を実験、観察していました。  実験が終わりチタン製の筒を再使用するため、骨から取り出そうとすると、筒は強固に骨と結合し、周りの骨を壊すことによってしか取り出すことができませんでした。 この偶然の発見が骨結合型の歯科インプラントを生み出しました。
 

 1965年、下顎「総入れ歯」の40代男性に埋め込まれたインプラントはブリッジとして今も機能しています。 それまでのインプラントは骨と直接に結合せず、結合組織を介するため骨との結合が弱く、残っている自分の歯と連結する必要がありましたが、このチタン製ネジのインプラントは骨と直接結合(光学顕微鏡レベルで)するためインプラントだけでブリッジを支え、長期に渡って機能することができました。

 まず、無歯顎で、そして1980年代から部分欠損にも適応されたブロネマルク教授のインプラントは主に北欧、北米で広まり多くの科学的なデーターを集積し、10年経過後の成功率(10年たって口の中で何ともなく機能している患者さんの割合)は95%を越えています。 2〜3本の埋め込み手術なら1時間程度で、痛みや腫れも軽度ですみ、もはや安全で確実な治療法といえます。

 しかし日本人の顎骨は一般に欧米人に比較して貧弱でインプラントを埋め込む上での制限が多いのです(骨の少ない人は埋め込みができません)。 また、日本では歯科医に対するインプラントの教育が大きく遅れているためトラブルも少なくないのでインプラント治療に積極的でない歯科医も多く、普及が遅れています。


術例

上下無歯顎患者に埋入されたインプラント・通常上顎で6ヶ月、下顎では3ヶ月骨との治療を待つ 術後3ヶ月後、2番目のネジをインプラントに装着 下顎に装着された固定式インプラントブリッジ、上顎はオーバーデンジャー

≪16年間のインプラント治療経験からわかったこと・・・≫

  私が初めてインプラント治療に携わったのは、平成元年、名古屋大学医学部口腔外科の大学院を修了する4年生のときでした。それまでインプラント治療といえば、セラミックや形状記憶合金とか(今では消えてしまいましたが)、科学的根拠に乏しく、なんとなくうさんくさい印象を持っていました。
 

 1965年スウエーデンのイエデポリ大学ブロネマルク教授によって開発されたチタンという金属でできたネジ式のインプラントはそれまでのインプラントとちがって骨と直接、強く結合し、ヨーロッパやアメリカで急速に広まっていましたが、日本ではまだ東京の2つの歯科大学で治療が始まったばかりでした。

 米国での研修後、平成二年に付属病院の助手となってからは、主に腫瘍の手術で顎の骨を取ってしまった患者さんの入れ歯や、目や耳を失った患者さんの作り物の目や耳を作るためにインプラントを応用するという治療に従事しました 。この治療は日本では初めてのこころみで、聞く人もなく、英文の論文を調べながら悪戦苦闘しました。そしてこの治療経験を通じて、インプラントがこれまでの歯科治療とは全く違った画期的な治療であることを実感しました。

  平成四年に開業してからこれまでに私の診療所でインプラント治療を受けた方も150名を越え(多くはないですが小規模な個人開業医としてはそこそこの数だと思います。)、これまで大したトラブルもなく、経過良好で治療後10年を超えた方もお見えになります。

 


 

 

治療例1 / 50代男性 自営業 緑区在住
歯周病にて歯を喪失。平成4年に下アゴにインプラント5本を埋め込み、ブリッジを装着。 当時はこんな橋桁のようなブリッジでしたが現在は自分の歯のような見た目で治療できます。 上はアタッチメント義歯で治療し経過良好でしたが、今年上の歯がダメになり、上アゴにもインプラントを計画中。 下顎の前は骨の条件が良く、成功率はほぼ100%です。スエーデンでは40年経過した患者さんがみえます。

治療例2 / 30代女性 主婦 可児市在住
どうしても入れ歯はいやだった。 平成6年に左下奥にインプラント3本埋め込み、その後何も問題ありません。一年に一度定期検診にみえます。下アゴの奥は骨の条件も比較的良く、治療した患者さんの数も最も多く今では失敗がありえないと思っています。こういったケースで治療費は約80万円、手術時間は一時間半です。自分で車を運転して帰れますし、昼から仕事に行かれる方もみえます。

治療例3 / 60代女性 自営業 日進市在住
流動食しか食べられない状態とゆうことで、娘さんが連れてみえました。一歩間違えば、総入れ歯になる状態でしたが、平成6年のインプラント治療により奥歯でしっかり噛めるようになり、グラグラだった前歯もしっかり持ち直し、経過良好です。インプラント治療は噛めるようになるためだけ出なく、残っている歯を長持ちさせるためでもあるのです。

 この患者さんは右下インプラント3本のうち真ん中のインプラントが骨とつきませんでした。この方はヘビースモーカーで手術をした日からたばこを吸われたため、縫ったところの歯ぐきが腐って落ちてしまい、真ん中のインプラントが感染したのです。骨とつかなかったインプラントは情けないことに反対にネジを回せば簡単に抜けてしまいます。  喫煙者のインプラント治療の成績が悪いことが明らかになっており、今では少なくとも手術した日から1週間、禁煙ができない方は治療をお断りしています。


治療例4 / 40代 女性 会社員 緑区在住
上の前歯を抜いた後、虫歯のない両隣の歯を削るのはイヤということで、平成10年かかりつけの歯医者さんの紹介で来院されました。上の骨は弱いので埋め込んだ後、歯を入れるまで6ヶ月待たなければなりませんが自分の歯がはえてきたように治療できました。治療期間中は仮歯を接着剤でくっつけておきました。手術時間は約40分、費用は34万円でした。1本だけの治療はどうしても割高になります。

 当院で治療された患者さんの経過が示すように、インプラント治療はもはや実験段階の治療ではなく、安全確実な10年以上の予後が約束できる治療法です。むしろ歯科の他の治療法である入れ歯やブリッジにくらべても長持ちするといえます。 手術も入院を必要とする大がかりな場合は別として、2〜3本の埋め込み手術であれば局所麻酔だけで十分痛くなく、よく切れるドリルで骨を削り、冷却水で骨を火傷させないようにすれば術後も痛みはほとんどありません。実際、当院では手術後すぐ鎮痛剤を飲むだけで、後は飲まなかった方がほとんどです。2〜3日は腫れが残りますが、1週間でほぼ元通りになります。

 治療費が高いといわれますが、毎日取り外しの入れ歯を使用してうっとおしい思いをすることにくらべてどうでしょうか? 余分な歯を削らずに済んだり、残っている自分の歯の負担を減らすことができるので弱った歯も持ち直し長持ちします。メリットは金額以上にあると思います。当院では世界で最も信頼の高い(価格も一番高い)米国ノーベルバイオケアー社の製品を当初から使用していますが、手術もインプラントの上にブリッジを作るのも私ひとりでできるので治療費もリーズナブルです。

上顎臼歯部(奥歯)のインプラント治療

 上顎臼歯部には上顎洞(副鼻空のひとつ)という空洞が存在し、骨の絶対量が不足している人が多いため、この部分のインプラント治療は最も難しいと言えます。

 私が名大でインプラントを始めた1990頃は欧米のデーターで上顎臼歯部のインプラントが5年後に機能している割合が75%とあまり良い結果ではありませんでした。さらに日本人は欧米人に比べて顎骨が貧弱なので成功率はもっと悪いと思われました。

 私自身の経験でも手術時にインプラントを骨にしっかりと固定できその後、何も問題が無かったのに、6ヶ月後に骨との結合(オッセオインテグレイション)が得られない患者さんがみえました。

 1995年以降、それまでの表面が純チタンのインプラントより5ー8倍骨との結合が強いといわれるチタン表面に骨の成分であるハイドロキシアパタイトを約一万度で溶解・吹きつけたハイドロキシアパタイト(HA)コーテイングインプラントを使用に踏み切りました。このHAインプラントの8年間の成功率は100%で上顎臼歯部だけでなく、抜歯直後の条件の悪い骨などでもインプラントを植え込むことができるようになりました。

 HAコーテイングインプラントにはHAが剥がれる、溶けるという評判もありますが、メーカーによってコーテイングの技術に差があり良い結果が得られず市場から消えていった物も多いのが事実です。私の使用しているノーベルバイオケアー社のステリオスHAインプラントは1989の発売以来その形状を変えておらず、評価の厳しいアメリカ市場で最も高いシェアーを占めており信頼できると考えています。

 さて話を上顎臼歯部に戻します。この部分は骨量が不足すると伴に、上顎洞の存在により解剖学的形態が複雑なのでCTによる診断が必要です。CTによる画像をデジタル化しシムプラントというソフトにかけ三次元で解析してインプラント埋め込みをシュミレーションすることができます。これにより出たとこ勝負を避け,より安全確実にインプラント手術ができるようになりました。


治療例1 / 62歳女性 豊明市在住 (平成13年)
骨量が不足しているため通常ではサイナスリフト(上顎洞の床を持ち上げてその部分に骨を移植する)を行わないとインプラントができませんでしたが、CTにより上顎洞の内側の骨を利用できることが解ったため上顎洞の周りにインプラントを少し傾けて3本埋め込むことができました。サイナスリフトを避けることができたので患者さんの負担を大幅に減らすことができました。

インプラントを傾けても機能的にも審美的にも問題は起こっていません。




治療例2 / 70歳 男性 瑞穂区在住 (平成14年)
右上顎臼歯部には通常のレントゲンでは十分な骨があるように見えましたが、CTをとってみると上顎洞の床の粘膜が炎症を起こし分厚くなって骨のように映っていただけなのがわかりました。このように上顎洞内に炎症がある場合は骨移植ができません。そのため上顎洞の前と後ろに2本のインプラントを埋め込みました。

上顎洞の後ろの骨は非常に弱くボソボソですが骨との結合力が優れたHAコーテイングインプラントを使用すれば無理に長いインプラントを埋め込むような危険を犯す必要はありません。シムプラントの解析では骨の硬さも算出できるので骨を削る力をあらかじめ加減することにより必要以上に骨にダメージを与えずにすみます。



このように私のインプラント治療は安全で長持ちすることを第一に考え、大がかりな骨移植などはできるだけ避け、シンプルな術式で手術時間を短くし患者さんの精神的・肉体的負担が少なくてすむようにしています。また新しくて評価の定まっていない物や術式は採用しませんので非常にオーソドックスと言えます。そのため必然的に費用も割安になるということです。

当院におけるインプラント治療の費用

ブロネマルクシステム
インプラント埋入(1本につき)
200,000円
基本手術料
(投薬、レントゲンなど 1回につき)
15,000円
上部構造 60,000〜80,000円
サイナスリフト 150,000円
マイナーな骨移植
骨補填材使用
24,000円
CT撮影とシュミレーション
(中日病院にて)
55,000円

例)奥歯2本で金属とセラミックのブリッジ

インプラント埋め込み 200,000×2 400,000円
薬、レントゲンなど   15,000円
セラミックのブリッジ 70,000×2 140,000円
合計   555,000円+消費税

例前歯1本でオールセラミックスの歯

インプラントの埋め込み 200,000円
薬、レントゲンなど 15,000円
アバットメント装着 20,000円
オールセラミッククラウン 80,000円
合計 315,000円+消費税

≪篠田デンタルクリニックにおけるインプラントの治療成績≫

最近では材料と私自身の技術の進歩により失敗はほとんど考えられなくなっており安全で確実な治療を自身を持って行なっています。

H4から19年までの累積成功率は98%と国際的にも高い水準です。

年度 治療した患者さんの数 埋め込んだインプラントの数 一回目の手術で骨と着かなかったインプラントの数 ブリッジ装着後失ったインプラントの数
(何年目だったか)
H4 1(5)
10
1(1)
7  12
10 29
30
10 21
11 33
12 32
13 12 39
14 22 60
15 30 98
16 41 139 1(5)
17 39 158
18 52 173 3(1)
19 57 193
合計 304 1041 14 10

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