最近ではインプラントも世間で認知され、昔の「痛い、失敗する、高い」という悪いイメージもだいぶ払拭されました。また世の中がかなり便利になり、生活が快適になってきましたので、50年前と大差ない入れ歯をますます不自由に感じる人が増えました。
当院でもこの数年間患者さんが徐々に増えており、年間50人程度を手術しています。
自慢できるほどの数字ではありませんが、大きな失敗も無く、安全かつ順調に経過しており、名古屋の個人開業医としてはトップレベルの実績と思われます。
今では私自身の技術の進歩とインプラント自体の改良により、ケースによっては歯を抜いて同時にインプラントを植え込み、仮歯を入れる治療(即時加重)や4〜6本のインプラントで総入れ歯の替わりに固定式のブリッジを作る治療も行っています。(All
on 4あるいは6)
私は、第一に長年の治療経験と欧米で蓄積されたデーターにもとずいた安全・確実な治療を行うことを心掛けています。 そして手術時間・治療機関の短縮、大がかりな骨移植をできるだけ避けてできるだけ簡単な治療をすること、その結果、患者さんの苦痛を最小に押さえ、治療費もより安くすることを目指しています。
私が使用してきたスエーデンのブロネマルクシステムは世界標準のインプラントで40年の歴史がありますが、その基本概念やインプラントの形状自体に大きな変化はありません。しかしその手術術式は私が名大口腔外科で始めた18年前と比べて大変簡単になりました。通常のケースであれば使用するドリルはわずか3種類です。
インプラントを骨に埋め込むのも以前のように骨にネジを切る必要が無く、インプラント自体がネジを切って埋まっていきます。これをセルフタップといいますが、インプラトと骨の固定が確実になり、手術時間も大幅に短縮でき、2〜3本のケースであれば麻酔して縫合し終わるまで30〜40分で済みます。
また解剖学的な形態が複雑な上顎臼歯部(上あごの奥)などでは事前にCT撮影し特殊なソフト(シムプラント)で解析して3次元で骨の形態を把握することができるので早く、安全に手術できるようになりました(CTと解析の費用は約55000円です)。
また以前のように抜歯をしてから半年も待つ必要は無く、抜歯する歯の周囲の骨にそれほど問題が無ければ抜歯と同時にインプラントを埋め込むことも可能です。これはインプラントの形はそれほど変化していませんが、表面の性状が大きく改良されたことによります。すなわち以前のインプラントはチタンの表面を機械的に研磨しただけでツルツルでしたが、現在のブロネマルクインプラントは特殊な電気化学的な処理(タイユナイト)がされており、非常に細かい穴がたくさんあいており、この穴に骨の細胞が入り込み、より短期間で強固な結合が得られるようになりました。
|