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親知らずの抜歯

 「親知らずを抜いて大変だった」という話を聞いたことはありませんか?「抜くのに2時間もかかり、抜いた後何日間も顔が変わるほど腫れてひどく痛かった」 「痛くて歯医者にいったけど、抜いてもらえなくて病院の口腔外科を紹介され、抜いてもらうまで何日も我慢した」 「口腔外科に入院して4本一度に抜いた。10日間流動食しか食べられなかった」
などという悲惨な体験をされた方も少なくないようです。

親知らずはなぜ抜かなければならないのか?
なぜ抜くのが大変なのでしょうか?

≪親知らずはまともにはえてこない!≫

 現代人のアゴは退化してだんだん華奢で小さくなっています。 その結果、一番最後(だいたい18〜20才頃)にはえてくる親知らずにはスペースが不足して、まともにはえてくることができない場合が多いのです。 それで骨の中に埋まったままだったり、はえてきても傾いて前の歯に食い込んでいたり、横に寝てしまって少し顔を出しているだけだったりしてまともにかみ合っていることはほとんどありません。


下アゴの親知らずのバリエーション あなたはどのタイプ?

≪なぜ抜くことになるのでしょうか?≫

 変なふうにはえていれば、食べかすもたまりやすく、歯ブラシもあたりにくく掃除もしにくいので虫歯になりやすく、周りの歯ぐきもよくはれやすいのです。前の歯に食い込んでいる場合は、前の歯の親知らずと接している部分がひどい虫歯になることも多いのです。

 親知らず自体がひどい虫歯になって痛んでも、横向きにはえていれば神経を取ることもできません。またちゃんとはえていたとしても、一番奥なので道具がまともに届かないことが多いのです。このため他の歯とちがって痛みを取るために抜いてしまわなければいけなくなるのです。

 歯ぐきがはれる場合は、たいてい抗生物質を飲めば治まりますが、何度もはらしていると、そのうちにアゴの周りまではれて(下顎骨骨膜炎といいます)ひどい目に会います。

それで結局、抜くことになります。

 また横向きに埋まっている親知らずが、それでもはえようとして前の歯を押すと、強烈な痛みがでることがあります。 特に上アゴでは頭蓋骨と直接つながっているため、脳天に響いて大変つらいようです。 痛みが長く続けば、早く抜いた方が楽です。

 矯正治療をした場合、後ではえてくる親知らずのせいで歯並びが悪くなるのを防ぐために、はえてくる前に埋まっている親知らずを抜くことになります。

 

≪なぜ抜くのが大変なのでしょうか?≫

 もともと奥歯(大臼歯といいます)は根が2本あるいは3本あり、骨の中にはりだしていれば簡単には抜けないことが多いのです。 その上、まともにはえていない親知らずは、周りの歯ぐきを切って開いたり、時には周りの骨を削らなくては歯を出すことができません。 また奥で道具もとどきにくいので抜くのが大変なのです。

≪最もやっかいな下顎水平埋伏智歯≫

 下の親知らずで完全に横向きで骨に埋まっている歯を下顎水平埋伏智歯といいます。 こいつはいわば親知らずの王様(歯科医にとっては大魔王みたいな歯)です。こいつの根が2本ある場合は、抜くのはなかなかやっかいです。 いいかえれば、こいつ以外の親知らずは熟練した歯科医にとっては、そんなに難しくはありません。

 抜歯の時間が長くなりそうな場合は親知らずのさらに奥、のどの近くに麻酔(下顎孔伝達麻酔といいます)をして、下アゴ半分をしびれさせれば抜いている間が楽です。 またこの麻酔は4〜5時間は効いているので抜き終わった後もしばらくは痛みを感じず、その間に鎮痛剤を飲めばそれほどの痛みを感じずにすみます。

 一般に、抜いた後の痛みやはれは削った周りの骨の量に相関します。 このため後が楽なように抜くには、骨を削るのは必要最小限にし、歯のほうをバラバラに小さくして取り出すのです。 時間は余分にかかりますが、患者さんの苦痛は最小限ですみます。


親知らずの王様、下顎水平埋伏智歯
バラバラにして取り出せば痛くないよ。

 みなさんに忠告しますが、親知らずはほどほどのところで抜いておかれた方がいいと思います。 はれているときは消炎して、はれを引かしてからでないと抜いた後が痛くて抜けません。 また妊娠中なども避けた方がよい時期があるので、痛いのを我慢していただくことになります。 体調の良いときに思い切って抜いておくのがよいでしょう。 とことん我慢して、とうとう口腔外科に入院ということのないようにしましょう。

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